商工会とのつながりを生かす|地域の企業と関係を深めるときの線引き
地域の企業を相手にする事業では、商工会や商工会議所などの経済団体とのつながりが、地域の経営者と顔を合わせる機会になります。ただし、団体は事業の後ろ盾ではありません。団体が自社を勧めているように見せないこと、営業の基本は電話で約束を取って訪ねることだと心得ておくことが大切です。この記事では、つながりの生かし方と、守りたい線引きをまとめます。
地域の経済団体にはどんなものがあるか
地域の経済団体には、たとえば次のようなものがあります。
- 商工会・商工会議所:地域の事業者が会員となり、経営の相談や勉強会、交流の場などを設けている団体です
- 経営者の会:経営者どうしが学び合う勉強会や、地域の行事を行う会です
- 業種ごとの組合や協会:同じ業種の事業者が集まる団体です
商工会と商工会議所は、おおまかには、市の地域に商工会議所、町や村の地域に商工会があります(市町村の合併などで、市の中に商工会がある地域もあります)。どの団体も、目的や会員の決まりはそれぞれです。入会の条件や活動の中身は、団体ごとに確かめます。
高卒就職の決まりと経済団体
高卒就職の日程は、国(厚生労働省・文部科学省)・全国高等学校長協会・主要な経済団体でつくる高等学校就職問題検討会議の申し合わせで決まります。2027年3月に卒業する生徒の場合、学校への求人申込と学校訪問は7月1日から、選考と内定は9月16日からです(出典: 厚生労働省「令和9年3月新規高等学校等卒業者の就職に係る採用選考期日等」2026年2月発表)。
都道府県ごとにも、応募の進め方の申し合わせがあります。多くの都道府県で、一定の期間は1人1社しか応募できない申し合わせがあり、運用は都道府県と年度で違います。担当する地域の申し合わせを確かめておきましょう。
このように、高卒就職の決まりは、経済団体も加わる場で決められています。団体の集まりで高卒採用が話題になったとき、日程や学校を通す決まりを正しく説明できれば、地域の経営者の役に立てます。
つながりの生かし方
団体とのつながりは、すぐに仕事につながるものではありません。地域の事業者の一員として活動に参加し、顔と名前を知ってもらうことが出発点です。
- 会員として、勉強会や交流の場に参加する
- 地域の経営者の話を聞き、採用や人手についての悩みを知る
- 団体から頼まれたときに、高卒就職の決まりや日程を説明する
- 地域の行事などに、ほかの会員と同じように加わる
集まりの場では、冊子の説明を長々とするより、まず相手の話を聞くことを大切にします。耳を傾けたいのは、たとえば、若い人が少ない部署はどこか、これまで高校生を採用したことがあるか、といった話です。関心を持ってもらえたら、あらためて電話で約束を取り、会社を訪ねて話を聞きます。営業の基本は、団体の中でも外でも変わりません。
団体から説明を頼まれたときは、一般的な決まりと日程を伝えることにとどめ、冊子の売り込みの場にしないようにします。
商工会や商工会議所には、地域の事業者の経営相談に乗る職員(経営指導員など)がいます。職員に事業の説明をする機会があれば、何をしている事業で、どんな決まりを守っているかを伝えます。ただし、職員に営業先を探してもらうことを前提にはしません。職員の役割は、地域の事業者の相談に乗ることだからです。
守りたい線引き
団体の名前の出し方
団体の会員であることは、事実として伝えてかまいません。ただし、団体がワカチョクの冊子を勧めている、団体のお墨付きがある、と受け取られる言い方はしません。団体の名前やロゴを、団体の了解なく営業の資料に載せることもしません。行事で団体の名前を出す必要があるときは、後援など、団体の正式な手続きを経たものに限ります。
名簿や連絡先の扱い
会員の名簿などを目にすることがあっても、その使い方は団体の決まりに従います。名簿を見て一斉に営業の電話をかけるような使い方は、団体の信頼を損ねるおそれがあります。名簿にある個人の連絡先は、個人情報として慎重に扱います。
集まりの目的を大切にする
勉強会や交流の場は、営業のために開かれているとは限りません。その場の目的に沿って参加し、売り込みは控えます。
学校との約束は、団体の中でも同じ
団体の会員から「知り合いの高校生に、うちの会社を受けるよう声をかけたい」「生徒にうちの会社を勧めてもらえないか」といった相談を受けることもあるかもしれません。そのときは、高卒就職では応募が学校を通して行われること、企業から生徒へ直接連絡しないこと、冊子は特定の企業を生徒に勧めるものではないことを、丁寧に説明します。
ワカチョクの運営では、学校を訪ねる前に教育委員会へあいさつをし、生徒の個人情報は取得しません。希望する生徒の取り次ぎは進路指導部を通します。団体のつながりがあっても、この約束は変わりません。
チェックリスト:経済団体とつながるときに確かめること
- [ ] 地域にどんな団体があるか、それぞれの目的と入会の条件を調べた
- [ ] 活動に参加できる時間があるかを考えた
- [ ] 団体が自社を勧めているように受け取られる言い方をしないと決めた
- [ ] 団体の名前やロゴを、了解なく資料に載せないと決めた
- [ ] 名簿などの使い方を、団体の決まりで確かめた
- [ ] 集まりの場では、まず相手の話を聞くことにした
- [ ] 営業は、電話で約束を取って訪ねる形で進めると決めた
- [ ] 高卒就職の決まりを、会員にも説明できるようにした
まとめ
商工会や商工会議所などの経済団体は、地域の経営者と顔を合わせ、地域の事情を知る場です。つながりを生かすには、事業者の一員として参加し、相手の話を聞くことから始めます。団体が自社を勧めているように見せない、名簿の使い方は団体の決まりに従う、という線引きを守ることが、地域での信頼を保つことにつながります。
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監修:株式会社ワカチョク 編集部